ストーリーマンガを作る際、難しいと感じている方が多くいらっしゃると思います。
確かに難しいですが、それはストーリーが複雑だからではありません。
単純なストーリーであれば、作文レベルで書くことができます。
要するに難しいのはストーリー以外の部分です。
そして、ストーリーが複雑に成ればなるほどそれ以外の難易度も比例して高くなります。
今回は、ストーリーとそれ以外の関係を簡単に説明していきたいと思います。
ストーリーは難しそうで意外とシンプル
ストーリーという物は一見難しそうに見えますが、実はかなりシンプルに出来ています。
ストーリーはすべて起承転結の構造で作られているからです。
起承転結の構造
起承転結とはもともと、漢詩の構成を指す物であり、起句、承句、転句、結句に分かれるらしいです。
- 起:始まり、物語の説明、登場人物の紹介
- 承:起から転へのつなぎ、事件の始まり、転へといたる条件や事象
- 転:物語の佳境、ドラマ、ピンチ
- 結:終わり、余韻
なぜ起承転結かといいますと、人間は起承転結で説明しないと理解できない生き物だからです。
ビジネスでの商品や物事の説明で「ストーリー立てて説明する」などを聞いたことがあるかと思いますがそれも一例です(転はありませんし、順番がすこしちがいますが……)。
中には、起承転結の概念を破壊した作品はあるのですが、結局は、補足や説明などを入れなければならない構造になってしまいます。一番分かりやすい例が推理物ではないでしょうか。
※起承転結以外にも序破急などもありますが、進行の部分では同じと考えていいと思います。
推理物の構造
推理物では、始め死体の周りを鑑識が現場検証するシーンなどがよくあります。
起承転結で表せば、承起承転結になるのでしょうか?
結局は最後、崖の上で犯人が種明かしをしてエンディングになります。
これは推理物の構造としては仕方なく、読者や視聴者も一緒になって推理するために作られています。
だから、キャラクターが事あるごとに状況説明をするのです。
キャラクターにストーリーの説明をさせてはいけない
キャラクターにストーリーに関わる状況の説明をさせるのはあまり好ましくありません。
なぜなら、キャラクターの役割は、説明する事ではなく演じる事だからです。マンガで状況を説明するには、描写やキャラクター同士の会話のやりとり等で読者にそれとなく理解させなければいけません。
マンガの場合でも、絵が字で隠れてしまいます。
あと、キャラクターに説明させると読者が感情移入しにくくなります。
マンガのストーリーには3種類のパターンがある
マンガのストーリーには、大きく三つのパターンがある。
そのパターンが
- 主人公成長型
- 主人公以外成長型
- みんな成長型
の3つです。
主人公成長型
これは、マンガのみならず物語の王道パターン。サクセスストーリーがこれにあたる。
作品例:ヒカルの碁、バクマンなど
主人公以外成長型
主人公は完璧の存在で、周りの主要キャラが成長や変化をするパターン。
作品例:北斗の拳?(ケンシロウ自身も成長していた様な……)
みんな成長型
最近の少年漫画に多いパターンです。主人公とその周りにいるメインキャラが共に成長するパターン。
作品例:ドラゴンボール、ワンピースなど
初心者はいい話を書こうとしてはいけない?
このタイトルを読んで疑問に思っている方が多いのではないでしょうか?
実は私がこの度壺にはまってしまったのもこれなので、説明したいと思います。
いいストーリーにこだわりすぎるとどうなるのか
- ストーリーに振り回されるキャラクター。
- ストーリーの都合でキャラクターの性格が突然変わる。
- ストーリーの都合で、あり得ないアクションやリアクションをする。
などでしょうか。分かりやすく言いますとストーリーが主役になってしまうと言うことです。
ストーリーとは、1話、2話や作品全体などを収める容器の様な物だと思ってください。
箱書きで大箱、中箱、小箱というものがありますが、ストーリーは大箱に当たります。中箱で大まかな事件や試練などのイベントを書きそして、小箱で主人公などのキャラクターの会話や行動を書きます。
大箱の時点でギチギチに書くと、中箱、小箱の自由がきかなくなります。
順番としては、大箱(基礎)→中箱(基礎)→小箱(基礎)→中箱(修正)→大箱(修正)の順番になります。
斬新なストーリーなど存在しない
実は、ストーリーは、古今東西全世界合わせても20パターン~30パターンほどしかないと言われています。
あの、エヴァンゲリオンや進撃の巨人なども既存の物をうまく組み合わせて作られています。
分かりやすく言いますと古典文学を現代版にアレンジしたのが、現在のマンガや小説などの作品になります。
読者は意外とパターン好き
パターン物の代表といえば「水戸黄門」を思い浮かべる方も多いと思います。
その水戸黄門の脚本はかなり難しいと言われています。なぜなら、完全にパターン化されマンネリ化されたストーリーの中に視聴者を飽きさせない演出やドラマなどを盛り込まなければならないからです。これこそが脚本家の腕の見せ所かとおもいます。
最近?大ヒットしたアニメ映画「君の名は」はあえてパターンの王道にしているくらいです。
斬新な事ばかりにとらわれず、パターンもマンガでは大切な要素だと言えます。
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ストーリーの勉強をしたい
ストーリーを勉強したいと思っている方もいらっしゃるかと思いますので、おすすめの学校を紹介します。
シナリオセンター
授業料もリーズナブルですし、ここ以外でおすすめ出来るところは知りません。
「駅前シリーズ」などの脚本をされた新井一氏によって作られたシナリオライター養成スクール。
業界では知らない人がいないぐらい有名な学校です。
内館牧子氏や岡田惠和氏などの大物脚本家をはじめ多くのプロを輩出している学校として有名です(残念ながら三谷幸喜氏や宮藤官九郎氏はここ出身ではありません)。
おそらく今、プロで活躍されているシナリオライターの約半分はこのシナリオセンター出身者ではないかと思います。
シナリオセンターの構造
このシナリオセンターには3段階のコースに分かれています
- 基礎科
- 研修科
- 作家集団
順に基礎科、研修科、作家集団があり、順番に昇級していきます(飛び級はありません)。
基礎科
基礎科では、素人にシナリオの歴史から技術、技法を教えます(約半年、30回)。
※この基礎科はかなり重要なのでもし受講される方は、欠席のないようにしてください。
研修科
基礎科を卒業後に受講するコース(最短半年、30作品提出で昇級)。
このコースでは、ペラ20枚の「20枚シナリオ」の作品をテーマにそって描いていきます。
ペラとは、業界用語で原稿用紙の枚数を表し、ペラ1、ペラ2と呼びます(ペラ1=400字詰め原稿用紙の半分)。
作品を朗読発表し、講師の先生や生徒達の批評を聞いてそれを参考に次の作品に活かしていきます。
20枚シナリオとは、ペラ20枚のショートストーリーなのですが、ストーリーを描くのがメインではなくドラマを描くためのドラマドリルです。
作家集団
研修科卒業後に受講するコース(卒業は原則なし)。
本格的に、プロになるためのコースで作品もペラ20から60枚へ増えます。
あと、ペラ40枚のシノプシスと交互に作品を作り発表していきます。
コンクール向けの対策などを行ったりする。
マンガ家志望にとってここでなにを学ぶのか
シナリオセンターはあくまで「映像シナリオを描くための学校」です。マンガとテレビドラマの違いというものを理解しておかなければいけません。
そこで、マンガ家志望のあなたがこの学校でなにを学べばいいかをピックアップしていきます。
- ストーリーの構造を知り習得する
- キャラクターを緻密に作り上げる
- 説明台詞を無くす
- 描写を意識し、見せる事で視聴者や読者にその意図を伝える技術の習得
- ストーリーとドラマの違いを理解する
- キャラクター同士のやりとりや事件、事故でドラマを発生させる
- 全てを含めた上でパッケージ化して一つの作品としてまとめる。
まだあるかも知れませんが大体こんな感じでしょうか。
あとドラマが出てきましたのでその説明もしていきたいと思います。
ストーリー展開とドラマ
ストーリー展開とは、ストーリーの道筋に当たります。複雑であればあるほど面白くなります。
ドラマはキャラクターの心情の変化や葛藤によって起きます。
ストーリー展開を「ハード」、ドラマを「ソフト」で表せば分かるのかと思います。
どんなにストーリー展開が連続し複雑怪奇な物語を描いてもドラマがショボければ台無しです。
しかし、ストーリーがシンプルでもドラマが優れていれば、その作品は名作になります。
要するにストーリーには限界があると言うことです。ドラマがあって物語は完遂することになります。
ゲームで例えると、どんなにゲーム機(ハード)の性能が優れていても糞ゲーは糞ゲーと言うことです。
シナリオセンターを受講してみたい
シナリオセンターには、上記で述べた以外でも様々なコースがあります。
私がお勧めするコースは、他の記事でも述べたと思いますが通学するコースです。
シナリオセンター本校(東京校)
シナリオセンター大阪校
まとめ
ストーリーは、シンプルな構造をしていて分かりやすいと思います。ストーリーも重要ですが、その中身のキャラクターやドラマなどが最も重要になってくるかと思います。
複雑なストーリー設定をすれば、それだけドラマ性も複雑で難易度もアップします。
シナリオセンターには、大学生をはじめ、学校教師、サラリーマン、会社経営者など様々な方が受講されているので、その方とのコミニュケーションを取る事によって得られるものは大きいと思います。
私も漫画原作を目指し通学していましたが、楽しかったので1年、2年、5年とあっという間に時間が過ぎていきますので気を付けてください。
あくまでもマンガのストーリーのための勉強として認識してください。
あと、年に数回マンガ原作講座がありますので、それを受講するのもいい勉強になるかも知れません。
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