クリップスタジオペイントは、機能が豊富で優れているため求められるPCのスペックが自ずと高くなってしまいます。
しかし、メーカーの推奨スペックを調べてみるとかなり低く記載されて使用している私でさえ困惑しております。
たしかに使い方は、人それぞれです。処理が重くても使っている方もいれば、サクサクじゃないと満足できない方もいらしゃいます。
そこで、今あるあなたのPCとクリップスタジオペイントとがマッチしているのかを調べる方法を紹介していきたいとおもいます。
クリップスタジオペイントとは
クリップスタジオペイントは、株式会社セルシスが開発したグラフィックソフトで、コミックイラスト等に特化した「Pro」とマンガ制作やプラグイン等総合的に使用できる「EX」の2タイプに分かれる。
クリップスタジオペイントは他のグラフィックソフトに比べて高品質で多機能のために要求されるPCスペックも高くなります。そこで、どの様なPCであればクリップスタジオペイントが支障なく快適に使用できるのかを紹介いたします。
※ここでは、Windows版の説明になります。Mac版の詳細を知りたい方は申し訳ありませんが、別サイトをご覧ください。
※MACのOSは、Windowsとは違い処理が軽く、それにウィルス対策ソフトが不要なので、ここに記しているスペックより低くても大丈夫かと思います(メモリは別)。
※あとPC以外にもタブレットも必要になります。タブレットについてはこちら「ペンタブレットの種類と作業スタイル」を参照してください。
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セルシスが推奨するPCスペック
詳しくはこちらに記述しております。
「CLIP STUDIO PAINT動作環境」へ
記されている内容の通り、支障なく作業をする場合は、作品のクオリティによって求められるPCのスペックが変化します。
単純なイラストのみなら、最低条件のPCでも利用できますが、ハイクオリティな作品を制作する場合はハイスペックPCが必須になってきます。
今あるPCの性能を確認する方法
確認するのは主に3つ
- CPU
- メモリー
- GPU
CPU
コンピューターの脳に当たります。高性能ほど処理スピードが速くなります。
PCに組み込まれているCPUのメーカは主にインテルとAMDの2社です。
今回は、インテル社の説明を致します(AMDの事はわからないから……)。
インテルCPUのランク分け
- Xeon:業務用サーバー、CGクリエイター向け
- Core i7:ハイエンドクラス:デザイナー、ゲイミング向け
- Core i5:ミドルクラス:デザイナー、オフィス向け汎用型
- Core i3:ローエンドクラス:オフィス向け
- Pentium:低価格PC、モバイルPC:オフィス、ネットブック向け
- Celeron:低価格PC、モバイルPC:オフィス、ネットブック向け
- Atom:低価格PC、タブレット、スマートフォン等
インテルのCPUはこれだけのタイプに分かれて上に行けば高性能で下に行けば省電力になります。
この中で、クリップスタジオを使用するのに適しているCPUはCore i7で、Core i5がボーダーラインになります。
インテルCPUの型番の見方
例:Core i7 4722HQ
i7の後ろ4桁の数字の先頭は世代を表し、数字が4なので第4世代になります。世代が後期になればなるほど高性能で省エネになります。現在は第7世代が最新になります。
あとの後ろの3桁が型番になり、数字が大きい程高性能になります。
後ろのアルファベットの意味
- X:最上位クラス
- H:グラフィック向上型
- Q:クアッドコア(コアが4つ)
- K:オーバークロック(戦闘機で言えばアフターバーナー)
- U:省電力型
- M:モバイル型(ノートPC、タブレット)
CPUはi7であれば安心ではなく、クアッドコア(コア4コ)であるかを確認ください。特にモバイルPCでは、省電力型が存在し2コア4スレッドの場合があります。4コア8スレッドであればCPUでは問題はないかと思います。
CPUは、i7、i5での確認では無く、コアとスレッドの数で確認する方がいいと思います。下にコアとスレッドの詳細を記しておきます。
コア
コアとはヅバリCPUのことです。CPUは小型のCPUが複数入ってパッケージ化されています。クアッドコアの場合4つのCPUが入っている事になります。
スレッド
情報処理をする部分。CPUの手だと思ってください。一刀流より二刀流の方がより多く切り落とせます。4コア4スレットと2コア4スレッドでは4コア4スレッドの方に軍配が上がります。二人の二刀流も4人の一刀流にはかなわないと言うことです。
メモリー
メモリーに関しては、8GB以上推奨でよければ16GBをお勧めします。
あと32ビットのPCは4GB以上には出来ません。その理由は、32ビットの最大が3GB~3.5GBまでしか処理出来ないからです。
1ビットは、2進数の一桁を表し32桁で32ビットです。その32ビットの最大の数字が3GB~3.5GBになります。
※8ビット=1B、1000B=1KB、1000KB=1MB、1000MB=1GB
対策としては、ウィンドウズの場合は64ビット版を購入して実装すればOKです。
最新のPCは64ビットOSで、8GBのメモリーを実装していますので問題は無いかと思います。
GPU
グラフィックボードのこと。グラフィック専門のCPUだと思ってください。CPUに内蔵されている分で十分だと思います。
※GPUには、GPGPUの機能がありますので、グラフィックの処理以外にもCPUの処理をサポートする役割もあります。
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確認ツールの紹介
CPUとメモリーは、タスクマネージャー等で確認する事が出来ますがGPUを確認することが出来ません。そこで、CPUーZというPCの性能を確認するソフトを紹介します。もちろん無料で使用できます。
CPU-Zのダウンロード(サイト名「vector」より)
緑のバナーの「ダウンロードページへ」をクリック、次のページで「このソフトを今すぐダウンロード」のバナーをクリックすればダウンロードが開始されます。
CPU-Zのインストール方法はこちらに詳細が載ってます(サイト名「パソコンの問題を改善(http://pc-kaizen.com/cpu-z)」より)。
CPU-Zでの確認方法
実際にCPU-Zを起動させます。
上記の画面で、赤線で囲われたCPUの型番になります。緑の枠線で囲われた部分にSSE2と記されているので3Dに関しては問題なしになります。そして、下部の青線で囲われた部分、左がコア数、右がスレッドの数になります。
次はメモリーの情報で、青枠はメモリーのバージョンを表します。最新はDDR4。そして、赤枠が容量を表します。
最後はGPUの確認。赤枠で囲われた部分がGPUの名称になります。
ベンチマークの確認
CPUの性能はこちらで確認することが出来ます。
COMPARE
BTOパソコンミニ館
ベンチマークの値が5,000前後~6,000前後あれば問題はないかと思います。あと、「グラフィック」と書かれているところがCPUに内蔵されているGPUにあたります。
今あるPCがデスクトップの場合
デスクトップ用のCPUはパワーがありますので、i7(4コア8スレッド)、i5(4コア4スレッド)でもOKだと思います。
あと、デスクトップPCは構造上バッテリーがありませんので、停電すればPCも即OFFになりますので、こまめにデーター保存を心がけてください。
今あるPCがノートPCの場合
ノートPCの場合は、4コア8スレッドCPU、メモリーが8GB、SSE2以降のGPUが内蔵されていれば十分だと思います。
今あるPCがタブレットPCの場合
i7搭載の最高クラスであればOKです。それ以外では、制作に支障が出る恐れがあります。
CPUは、処理能力が上がれば上がるほど熱が発生し消費電力も上がります。タブレットPCは省電力のため構造上処理能力が落ちます。
上記のスペックより下回っている場合
低スペックPCでクリスタを使うと起きる障害
- CPUの性能が低い:ペンを走らせている途中でフリーズ
- メモリーが少ない:レイヤーを増やした時フリーズや突然画面が表示されなくなる
- GBUが無い:3D素材が扱えない
ほとんどがフリーズや画面が真っ暗になりCPUのファンだけがゴウゴウと雄叫びを上げる状態になります。
最悪の場合は、強制終了になります。性能に余裕のあるPCの購入を推奨します。
あきらめるのはまだ早い低スペックPCでクリスタを使う方法
少し面倒ですが、お金を出費したくない方はこの方法を取るといいかと思います。
対策一覧
- 余分なソフトをアンインストールして軽くする
- クリスタ専用PCにする
- クリスタ使用時、ウイルス対策ソフトをOFFにする
- あまりレイヤーを増やさない
魔改造する(自己責任でお願いします)
- メモリーを増設する
- ハードディスクからSSDに交換する
- CPUの交換(大型のノートPCも可能らしい)
- グラフィックボードを取り付ける(強引に行えばノートPCでもいけるみたいです)
上記の方法を行っても改善が見られない場合は、あきらめて購入を選択された方が無難です。
クリスタ使用中に関係のないソフトをボタン一つでON、OFF出来るソフト
クリップスタジオペイントを快適に使用するために、一つ、一つOFFにするのはめんどくさいです。
下手をすれば、使用できなくなるかも知れません。
そこで、ボタン一つで関係のないソフトをON、OFFできるフリーソフト「Game Booster 3」があります。
こちらの記事「ボタン一つで作業環境を改善するソフトGAME BOOSTER 3」でご説明しておりますので、もしよろしければご参照ください。
クリスタで使えない低スペックPCの使い道
低スペックPCは、売ってもあまりいい値にはなりませんので、別用途で使用する事をお勧めします。
グラフィック作成以外であれば、低スペックPCでも十分活用できます。
例えば、調べ物や文章の作成等サブPCとしての位置づけとして利用します。作品の製作中突然調べなければならない内容が発生した場合に使用したりします。
ハイスペックPCと低スペックPCを2台並べて使用するのもいいかもしれません。
クリップスタジオペイントにこだわらず別のソフトを選ぶ
クリップスタジオ以外のイラスト制作ソフトといえば、SAIを思い浮かべる方もいるかと思います。しかし、最近の評価は芳しくなく過去の存在になりつつあるみたいです。しかも、シェアソフトで「PRO」版より若干値段が高いです。
そこで、もう一つのソフトをご紹介します。
Medibang paint pro
このソフトはなんと無料で使えて、しかもスクリーントーンもありマンガ制作もできるソフトです(SAIにはスクリーントーンはありません)。
無料で高機能なので、評価も高いようです。
クリップスタジオには及びませんが、3D素材がない分低スペックPCでも十分使いこなすことは出来るのではないかと思います(メモリは8GBは必要)。
実は私も、無料なので低スペックPCにダウンロードしています。
こちらから入れます。(https://medibangpaint.com)
※あとPC以外にも別にタブレットも必要になります。タブレットについてはこちら「ペンタブレットの種類と作業スタイル」を参照してください。
実際にクリップスタジオペイントを導入して試す
Medibang paint proも無料で優れたソフトですが、クリップスタジオはシェアソフトならではの充実した機能が備わっています。
百聞は一見にしかず!実際にクリップスタジオを導入して試すのが一番いいかもしれません。
種類
pro版:ダウンロード版、パッケージ版
EX版:ダウンロード版、パッケージ版
4コママンガや細かなコマ割りが必要の無いWebマンガの場合はProでも十分かと思います。後でEXの方がいいと思ったらEXにアップグレードが出来ます(有料)。
クリスタの機能の詳細一覧
もし金銭的な理由でお困りなら体験版(最大30日間)を利用する方法もあります(機能に制限があります)。
購入
ダウンロード版
pro版:5000円
EX版:23,000円
あと、バリュー版が存在して、月々500円~利用できます(分割払いの様なもので、pro版は500円11回払い、EX版は500円50回。1,000円は24回払いで購入扱いになります)。
これなら、経済的な負担無く利用することが出来るかとおもいます。
支払いは、セルシスの電子通貨GOLDでの支払いになります。1GOLD=1円でクレジットカードかコンビニ払いで購入することが出来ます。
Proのバリュー版はこちら
EXのバリュー版はこちら
あと、複数台のPCにインストールも出来ます。詳細はこちら
パッケージ版
pro版:9,000円
EX版:36,500円
これは、DVD版です。中身はおそらくダウンロード版と同じだと思います。DVDで所持したい人はこちらを購入します。私は、家電量販店でEX版を購入しました。
ダウンロード版、パッケージ版のご購入はこちらから
試す方法
試す方法として、上の画像の様な一筆書きを詰まることなく描き続けることが出来るか確認します。
設定
- B4 300dpiまたは600dpi
- ラスターレイヤーではなくそれよりも重いベクターレイヤーを使用
- 2、3層のレイヤーで同じ事を繰り返す
この作業を行って、リキャストタイムなどが、発生しないまたは数秒ぐらいなら、スペック上問題ないかと思います。
しかし、フリーズしてしまう場合は、CPUやメモリーの能力不足が原因と考えられますが、別の要因も考えられますのでそれも確認しておいてください。
ソフト不具合のケース
CPUやメモリーなどハード面以外にもクリップスタジオペイント自体やペンタブレットのドライバー、そしてお互いの相性が悪いなどソフトの原因も考えられます。
例えば、CPUがクアッドコアのi7、メモリーが32GなどのハイスペックPCでも、他の原因が見当たらないのに「途中でペンが止まる」や「フリーズする」や「cpuの稼働率が100%近くになる」などの報告もあるようです。
このケースの場合は、メーカー側に問い合わせて見るのがいいかと思います。
メーカーのサイトで修正データが発行されていると思いますのでそれをダウンロード、インストールしてください。
もし、修正データが発行されていない場合は、自分が今置かれている状況をメーカー側に報告して、原因を探って貰う方法もあります。
「セルシスユーザーサポートセンター」へ
まとめ
いかがだったでしょうか。実際体験版等で試してみるのが確実かと思います。あなたが所持しているPCが高性能ならクリスタも問題なく快適に作業をすることができ、
一方、スペックが下回っていた場合は、創意工夫して使用し、また別の使い道もあります。
私もPCを複数台所持していて、それぞれ役割分担を決めています。
一台のPCに全てまとめると処理が重くなり尚且つ、ディスプレイが一つなので作業がしずらくなります。
それに対し同時に複数のPCを使えば、PCの処理も速く、ディスプレイも複数あるので、ウインドウの山ともおさらばできます。
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