大空のサムライは、坂井三郎氏の戦争体験を元に書かれた自叙伝的な作品です。
あの「永遠の0」のモデルになった作品です。
初めは零戦の構造を知るために購入しましたが、すごく感動する作品で私もパイロット仲間になった気分で感情移入しました。
フィクションの部分も多々あるみたいなので小説として読んだ方がいいかと思います。


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大空のサムライとは

元は、昭和28年に零戦のエースパイロットであった坂井三郎氏の自伝「坂井三郎空戦記録(出版協同社)」から始まりのちに「SAMURAI!」で海外にも翻訳され、米国等でベストセラーになりました。
「坂井三郎空戦記録」や「SAMURAI!」等を総編纂し改訂したのが「大空のサムライ」になります。
最近では、インターネットの普及によりかなり認知されるようになりましたが、当初坂井三郎氏の名前は、日本よりもアメリカの方で知られていました。
その証拠に、お亡くなりになられた時日本では三行記事に掲載されていたのに対し、米国では著名な雑誌の一面に掲載されました。

この作品を読む事になったキッカケ

私がこの「大空のサムライ」を読むキッカケになったのが、以前書いた記事「目からウロコの戦闘機パイロットの空戦哲学」で紹介した服部省吾の著書「戦闘機パイロットの空戦哲学」に紹介されていたからです。時期としては大体2008年ぐらいだと思います。
当時、まだ左巻が主流だった時代で私にとって戦前はブラックボックスでした。
戦前に対する好奇心も手伝って、購読することにしました。
読む前、戦前なのでガッチガッチの軍隊色の強い精神論や説教ばかりが乗っているお堅い内容だと覚悟しましたので、当初は「零戦のメカニズムさえ理解できればいいか」と思って読み始めました。
しかし、一読してそのイメージは吹き飛びました。
戦友との友情や絆など、まるで少年ジャンプを読んでいるかの様な内容でした(読みやすい様に作られてますからね……)。
この作品を読んで、感動して胸が熱くなるエピソードが山のようにありますが、笑えるエピソードもあります。
正直、この作品を読んで「笑う」リアクションをするとは、想像すらしていませんでした。
あくまでも物語なので、フィクションも多く含まれています(あのエピソードがフィクションだったとは……ショック)。

この作品の見所

「フィクションも含まれる」と書きましたが、もちろん史実もあります。
「大空のサムライ」には、魅力的なエピソードや想像を絶する意外性がたくさん詰まっています。
多すぎて全部は紹介できませんので、その一部を紹介いたします。

昔も今も変わらない価値観

私と坂井三郎氏とは半世紀以上の年齢差がありますが、時代の差を全く感じさせませんでした。
全ての感情や価値観において、大正、昭和の人も21世紀の現在も同じだと認識しました。

昭和初期、日本軍の軍旗は乱れていた?


戦艦榛名
日本軍といえば、強靱な精神をはじめ統率のとれた軍隊を想像するかと思います。
しかし、戦前の海軍士官が、長髪をポマードで整え、指輪を付けていた内容が記述されていて、驚きました。
当時、大正デモクラシーの影響がまだ残っていたのだと思います。
のちに、東条英機の戦陣訓により軍旗が正されていくことになります。

開戦当初は人命が尊重されていた?

日中戦争中、坂井が深追いして敵機を撃墜し帰投後、上官に殴られるエピソードが書かれていた。
深追いすれば撃墜されるリスクが高くなるので、危険なことはするなという意味で殴られたのです。
戦時中の日本軍は人命軽視と思っていましたので、これは意外で衝撃的でした。

零戦の配備当初は不評だった?


96式艦上戦闘機
実は、開戦当初最強と言われていた零式艦上戦闘機が、配備当初パイロットの間では不評でした。
ドッグファイトでは、前任機の九六式艦戦に全戦全敗し、構造上横滑りがしやすいかったのが主な理由でした。
あと、速度を上げると操縦桿が重くなるという重大な欠陥もありました(坂井は日頃、腕立て伏せを欠かさず行っていました)。
しかし、通常の後続距離の三倍以上と戦術面としては優れていたので、デメリットを腕で補い歴史に残る名機へと成長していきます。

戦争末期、零戦は性能で劣っていたから撃墜されたのではない


F6Fヘルキャット

P-51マスタング
「零戦は、太平洋戦争開戦時最強と言われていたが、F6FヘルキャットやP-51マスタングの登場で性能の劣る零戦は悲劇的な運命をたどります。」と一般に言われていますがこれは間違いです。
F6Fは、2000馬力のパワーのあるエンジンを積みスピード及び上昇限度で零戦を上回っていましたが、機体が重く旋回性能で劣っていましたので勝てない相手ではありませんでした。
全ての性能で上回るP-51でも戦術を駆使し、ベテランパイロットであれば必ずしも負けるとは限りませんせした。
現に無敗最強を誇るF-15を現役時代のロック岩崎が2世代も劣るF-104で、2機撃墜判定を叩き出しています。
私が見るに零戦の敗因は、性能差もありますがベテランパイロットの不足と過労が主な原因だったと思います。

ベテランパイロットの不足になった要因

多くのベテランパイロットが戦死した主な原因をリストにまとめてみました。

  • 上層部の無茶な命令
  • 全戦全勝による油断やおごり
  • 性能の優位性の喪失
  • 個人戦から集団戦術への移行
  • 激務による過労

※あくまでも私の推論です。

ライトノベルに飽きた方におすすめ

私は、あまりライトノベルは読まず、読んだのは「ロードス島戦記」「銀河英雄伝説」「十二国記」の3作品ぐらいです。
3作品以外で「とある~」を当時アニメ等で大ヒットしていましたので、原作本を読んですぐに挫折しました。
あれは、アニメやマンガを見た方がいいと思います(あくまでも私の感想)。
「大空のサムライ」ですが、「ライトノベルに飽きちゃった」ていう方にもおすすめできるかと思います(ライトノベルと比較するのは失礼かもしれませんが……)。
史実として読むのはNGですが、物語として読むがオススメです。そこら辺の小説より遙かにいい作品です。
あと、戦友との出会い、友情と絆そして別れの作品なので「ONE PIECE」や「ナルト」が好きな方にもオススメです。

書籍のラインナップ

「大空のサムライ」には、「帰らざる零戦隊」意外にも「続」「戦話」と「完結編」とがあります。
私は、全巻購入し読破しました。
あと、光人社版以外に講談社版もありますが、詳しいことはわかりません。光人社版のみの紹介とさせていただきます。

大空のサムライ 帰らざる零戦隊

「大空のサムライ」と言っても何冊もあって迷うと思います。
坂井三郎の物語を時系列で書かれていますので、初心者にも安心して読むことができます。
一番初めに購読する一冊がこれに当たります。あとに続く「続」「戦話」などもこの作品がベースとなっております。
「帰らざる零戦隊」→「続」→「戦話」→「完結編」と読み進めるのがいいかと思います。
650ページ以上でかなり厚みがあります。
少年時代から昭和19年の硫黄島からの帰還(木更津飛行場)までを記述しています。

大空のサムライ―かえらざる零戦隊 (光人社NF文庫)

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続・大空のサムライ 回想のエースたち

この書籍は「帰らざる零戦隊」では紹介しきれなかったエピソードなどを紹介しています。
「帰らざる零戦隊」ほどではありませんが、500ページ以上でかなり厚みがあります。

続・大空のサムライ―回想のエースたち (光人社NF文庫)

坂井 三郎 光人社 2003-04-01
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戦話・大空のサムライ 可能性に挑戦し克服する極意

こちらは、タイトル通りで空中戦の極意やピンチになった時の克服した体験などが書かれています。
約500ページあり厚みがあります。

戦話・大空のサムライ―可能性に挑戦し征服する極意 (光人社NF文庫)

坂井 三郎 光人社 2003-04-01
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大空のサムライ・完結編 撃墜王との対話

「大空のサムライ」シリーズの最後の作品で、坂井三郎との対話形式にて自身の人生感を語っています。
「大空のサムライ」シリーズを補完する役割ですので、約250ページでライトノベルサイズです。

大空のサムライ・完結篇―撃墜王との対話 (光人社NF文庫)

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写真・大空のサムライ

これは、「大空のサムライ写真集」のような物です。
坂井三郎が歩んできた人生を写真と共に見ていく内容になっています。
実は私、この本を一番初めに購入しました。
※私が購入したのは、旧版です。

坂井三郎「写真大空のサムライ」

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まとめ

いかがだったでしょうか。
この方は、ネズミ講組織天下一家会の広告塔や虚偽の主張や記述など黒い部分もありますが、この作品によって世界(特に白人)の日本人に対する偏見や差別を無くすのに大いに貢献したことは間違いはありません。
かつて「ジャップ!」と罵られていた日本人が、今や「クールジャパン」として脚光をあびるまでになりました。
ジャップからクールへと日本の世界からのイメージを変えた作品の一つだと言うことに間違いはありません。


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